Weatherby SSC ウェザビーSSC by Kon

 ウェザビーSSC(Super Sporting Clay)という銃がある。高速ライフル弾で有名なウェザビー(Weatherby)社のショットガンだ。
 実際にはウェザビーが製造したものではない。これは紛れもない日本製である。
1998年、ラスベガスで行われたShot Showのウェザビー社ブースで、私はこの銃に出会った。
飾りっ気は無いが、すっきりしたデザイン、少なくても日本では当時、珍しかった八目鰻のようなガスポート。(若い諸君はご存知だろうか?ヤツメウナギを)

 ガスポートのアップ。先端はoptionのBRILEY Ported Choke このチョークの効果は視覚的なもの以外、私は感じなかった。

私はこの銃に惹きつけられるものを感じた。一目惚れだ。帰国後、購入しようとしたが国内では販売していないことを知り、愕然となった。
 手に入らないと思うと尚更欲しくなる。銃刀法で所持不可能というようなモノでは全くない。ましてやMade in Japanだ。

                           どうしても欲しい。

 そんなわけで、並行輸入をしている知り合いの業者に頼み込み、このショットガンを逆輸入して貰うことにした。3ヶ月半ほど経って、ようやく待ちに待ったWeathrby−SSC(28inch−Sporting)を入手出来た。

  上がSKB-SSC/下がWeatherby-SSC SKB-SSCはオイル・フィニッシュド、Weatherby-SSCは光沢ウレタン仕上げ

この銃にはソリッドタイプのリブが付いている。スタンダードクラスの銃には箱リブ(銃身の上に正面から見てコの字型鉄板を載せたタイプ)が多い。箱リブだと撃った瞬間『キンッ』という共振音がする。しかしソリッドタイプは丈夫な支柱の上にリブ板が載っているのでこんな音はしない(注意していないと分からないことだが)

 トリガーは前後に調整出来るアジャスタブルタイプだ。米国市場で同価格帯($2,000近辺)で売られているベレッタ682は指が掛かる部分のエッジが立っていて、指が痛くなったことがある。
この前も、射場で女性シューターが人差し指から血を滲ませながら撃っていた。「私の握り方が悪いんでしょうかぁ?」とおっしゃっていたが、こりゃぁ痛かろうと思えるエッジの立ち方であった。しかしSSCはエッジが面取りしてあり、なおかつトリガーの位置が調整出来るので、気持ちよく撃てる。

 ハンマースプリングは切れの良い松葉バネを使用している。「ロックタイムが短いから、見越しも短い」と言う人も居るが、下手な私にはあまり感じることは出来ない。
 あまり適切な比較ではなくて恐縮だが、セミオートのショットガンを撃つと、トリガーを引いてから、“ボヨン−カチャン”という感じでハンマーが落ちる。682は流石に『ぼよん−かちゃん』と言うことはないが、松葉に比べればシャープさに些かの不満を感じる。
 だからといって当たる当たらないと言う事にはならないが、トリガーを引いて、“ボヨン−カチャン、ボヨン−カチャン”って落ちるハンマーより、“カンッカンッ”って落ちるハンマーの方が気持ちが良い。同じ時速100km/hのスピードでハイウェイをクルーズしても, 鈍重な…あっ!いや失礼、重厚な高級車と、スポーツカーとでは、スポーツカーの方が楽しいと感じるのは私だけではないだろう。
 銃身は交換チョークなので、スキートからトラップまで対応出来る。もっともスポーティングなので、専用銃に比べればハンディがあるのは言うまでもない。
 そしてヤツメウナギのように銃身に開いているガスポート、たんなる飾りかと思っていたら、体感できるほど、反動がマイルドだ。これには多少驚いた。
 私はしょっちゅう射撃場に行くわけではない。回数的には少ないほうだと思う。しかし行けば、少なくても8Rは撃つ。このガスポート付き銃身だと疲労がかなり違ってくる。
 いつも反動に煽られているような細身の女性(男性も)の方にはお勧めだ。

        発射時にGas Portから噴出すガスをご覧頂けるだろう。予想以上のマズル・ブレーキ効果がある

 その後、知り合いの銃砲店が、このSSCに国内向けトラップ銃床を装着して、完全トラップ銃化した物を手頃な価格で販売開始した。
 

 これを知って衝動買いをしてしまい、アメリカ仕様と合わせてペアガンとなった。
 O/Uの新銃、それも手の込んだやつが22万円で買えるとはいい時代になった物だ。
 私が射撃を始めた頃は、O/Uは最低のやつで30万、ちょっと良いものならすぐに50万〜60万は当たりまえだった。

 最初に逆輸入したSSCは、当然ウェザビーの刻印がある。国内販売のSSCは商標の関係でウェザビーの刻印はない。残念という気もしないではないが、これはこれですっきりしている。
 国内仕様SSCトラップに装着されているストックは、引き金座脱着タイプの別のトラップ銃から寸法をとって作られた。引き金座脱着タイプは国内向けにしか販売されていない。したがって標準的日本人体型に近い身長170cm弱の私でも切り詰めないでそのまま使うことが出来た。

 輸入銃は正規品、平行輸入物とも、殆どの場合は銃床を切り詰めないと使い物にならない。グリップも太すぎる。僕の持っている正規品のベレッタ682は銃床を切り詰めて、グリップも細くした。それに対しSKB-SSCは、グリップも細めで、しっかり握ることが出来る。ウェザビーSSCの方は682程ではなかったが、手の小さい私には少々合わなかったので、銃砲店で、若干細くして貰った。
 グリップは細めの方が良い。太いとしっかり握ることが出来ず、銃が跳ねたり、手の中でグリップが暴れて同発もどきを起こしたりすることさえあった。
 交換チョークなので、国際ルールのセットに持ち込んだときは多少不安があった。しかしこれは全くの杞憂だった。初回から、いつも通りの20〜22点が撃てた。

 よく射場で、『その銃何処のですか?』と聞かれる。人と同じ物を持つことが好きでない私は、こう聞かれると嬉しい。
 ペアガンになってからは、最初に買った逆輸入スポーティング・モデルはもっぱらスキートに、後から買った方の国内仕様SSCではトラップを楽しんでいる。
 日本製のショットガンを好まない人もいらっしゃるようだが、同価格帯の輸入銃と比べてみてほしい。私はこのNew SKB製の国産ショットガンが気に入っている。

by Kon

Feb.7, 2003
Copyright (C) 2003 by Kon

Appendix : Weatherby Brand ウェザビー・ブランド by Satoshi Maoka

 ウェザビー(Weatherby)は高速ライフル・カートリッジ,及びそれを使用するハイパワー・ライフルとして日本でも良く知られているブランドだ。
 Roy Weatherbyは高速弾のメリットを唱え,数々のマグナム・カートリッジを開発してきた。同一口径の他のアモを改良、ショルダーの角度を強くして容量を稼ぎ、よりハイパワー化させる。もっとパワフルなものが出てくれば、さらにそれを超えたものをラインナップし、独自の世界を形成した。
 一部の人達はよりパワフルなものに憧れる。Roy Weatherbyはそんな気持ちを上手く、くすぐった。
 ウェザビー・マグナム・カートリッジを使用するライフルも、ウェザビーが供給した。独自のライフルを製造するのではなく、既存のエンフィールド、スプリングフィールド、マウザーM98、シュルツ&ラーセン、レミントン、ウインチェスター、FN製マゥザー98などのアクションをベースとして、ウェザビー・カスタムライフルを造った。
  しかしRoy Weatherbyはこの状態で満足しなかった。1958年、高速ウェザビー・カートリッジを安全に使用できるタフなアクションを開発する。それがMark Vだ。9個のロッキング・ラグを3個づつ120度の間隔で3方向に並べている。通常のボルトアクションのロッキングラグは2個だけだ。
 Mark Vの登場でWeatherbyのブランド・イメージはさらに高まった。しかしこのアクションが高圧に耐えるベストなものかどうかは疑問が残る。9個もロッキング・ラグが並んで,いかにも強そうな印象を与えるが,実際には全部がリセスとかみ合っているわけではない。これは加工精度の問題だ。それよりMark Vのファットなボルトは、Case rupture(薬莢破裂)が発生したとき、優れたガスシール性を発揮する。シュラウドとボルトのデザイン、ガス・エスケープ・ホールの位置などが非常に良い。
 ボルトの操作角度は54度だ。90度近くまで動かす他のライフルと比較して、この角度が鋭角であることから、Mark “V”と名付けられた。利点は、ボルト操作がより素早く出来ることと、レイアウト上、スコープとの組み合わせに余裕が出来ることだ。
 Mark V アクションもRoy Weatherbyがデザインしたことになっているが,実際の設計は別の人物がおこなったらしい。しかしRoyが既に著名であることから、販売戦略上,Roy Weatherbyデザインということになったようにも思える。
 ウェザビーは生産設備を持っていない。Mark Vは西ドイツのメーカーが製造を担当,その後,日本製となった。そして数年前よりアメリカ製になった。
 残念ながら,あまり命中精度は良くない。ウェザビーは当たらないのだ。この“当たる、当たらない”という感覚は、銃にどこまで精度を求めるかで変わってくる。0.5M.O.A.を合格ラインとする感覚からすれば、ウェザビーは全くダメなライフルだ。しかし、ウェザビーの対象になるゲームのハンティングなら、2 M.O.A.もあればお釣りがくる。
 最近はカスタムバレル・メーカーの銃身を装着し、精度を改善しようとしているが、まだ十分ではない。
 ウェザビーは基本的にハイパワー・ライフルのブランドだ。製造メーカーではなく、販売会社だ。今回Konさんが紹介したショットガンも、日本のNew SKBがOEMで製造している(Mark Vをかつて製造したメーカーとは別)。そこにはRoy WeatherbyやそのJr.のアイデアは何も加味されてはいない。日本で手に入るSSCにWeathwerbyの刻印が入っていなくても、何もがっかりすることはない。New SKBのショットガンは米国でも評価が高い。

Mar.7, 2003
Copyright (C) 2003 by Satoshi Maoka

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