発明家達の夢のあと Chapter 3: All Metal Folding Revolver Le Novo 総金属製 折りたたみリボルバー ノボ
ナイフなどの刃物を身につけて携帯する、あるいは荷物の中に入れて持ち歩くという場合、刃をむき出しにしていては危険極まりない。そのためシース(Sheath, またはscabbardとも言う)に刃を収めておくことで安全を確保するのが一般的だ。
しかし、より携帯性を高めるために、刃の部分を折りたたんで、グリップ部分に収めておくという携帯方法が生み出された。最初の折りたたみ式ナイフは、単に刃の回転軸をピンで留めただけのロック機構のないもので、これは紀元前に既に存在した。
本格的に普及するのは17世紀にスリップジョイント方式が開発されたあとのことだ。使用する場合には刃を起こさないといけないが、折りたたむことで全長は短くなる上に、携帯時の安全をシースなしで確保することが出来る。フォールディング・ナイフは18世紀になって広く普及するようになった。
ハンドガンとナイフは別物だが、同じように折りたためないか、と考える人が現れても不思議ではない。ハンドガンの場合、グリップ内に本体を収めようといるわけだ。

銃の名前はLe Novoと呼ばれている。メーカーはHenrion, Dassy et Heuschenで、ベルギーのリージェ(Liege)のメーカーだ。製造は1900年〜1910年頃だったらしい。
この写真のものは25ACPを使用する5連発だが、同型で5.5mm Velo Dogというアモを使用するものがある。
Velo Dogと呼ばれるリボルバーは、1894年にフランスで作られた。veloはフランス語で自転車を意味するvelocycleからとられた。自転車に乗っている時に、犬に襲われた(からまれた?)という状況で使用するピストルという意味から、この名前がついた。
その後、ベルギーやドイツでもこのアモを使用するモデルが作られた。Novoもそのひとつだ。パワーは22LRより弱い。ようするに犬を撃つ程度のパワーしかないというアモだ。
当時、犬を撃つ、ということはさほど珍しいことではなかったらしい。野良犬は時として危険である。同時代のブラゥニングの広告でも、車から犬を撃つシーンが描かれているものがあった。
Novoは、25ACPと5.5mm Velo Dogのほか、やや口径を小さくして6連発とした5mm Velo Dog仕様も作られた。
Novoは、フレーム右側面シリンダーの前にあるレバーを上に回転させるとバレル・アッセンブリーを前方に抜くことが出来る。これでシリンダーを外し、装填、排莢はこの状態で行なう。
折りたたむ場合は、トリガーを前方に倒し、中空になっているグリップ部をシリンダーとフレーム部に被せる格好となる。フレームとシリンダーの半分ぐらいしかグリップ内に覆われていないが、トリガーが折りたたまれていることで、間違ってトリガーを引いてしまうという間違いを無くすことが出来る。
トリガー・ガードはない。当時はトリガー・ガード無しで、使用しないときは、トリガーを折りたたんでおくというフォールディング・トリガーのポケット・リボルバーは、少なくなかった。
グリップ部分は真鍮で、その他はスチール製だ。但し、グリップ部は前部が開いた中空であるため、お世辞にも握りやすいとは言えないだろう。
Novoはダブル・アクションで, 全長は約10cm程度の小さなものだ。写真のモデルはグリップ部のみに彫刻が入っているが、ピストル全面に彫刻を施した豪華なものもある。
折りたたみ式リボルバーは当時、Novoの他にも存在した。しかしその後、グリップを折りたたむ、というハンドガンは長い間、現れなかった。
しかし、20世紀も終盤になって、ノース・アメリカン・アームズ(NAA: North American Arms)から、同じようなものが登場している。


同社のミニ・リボルバー(Mini Revolver)は、.22Shortモデルから.22LRモデル、.22Magnumモデル、さらにはキャップ&ボール仕様まで用意されている。これのオプションとして、グリップ部を回転させ折りたためるようにしたものが作られた。もともと猛烈に小さいNAAのミニ・リボルバーはグリップ部分も小さかった。しかしこの折りたたみ式仕様にすれば、レシーバー部を覆うようにしているグリップを起こすことで、かなり大きなグリップにすることが出来る。このグリップはホルスター・グリップという。グリップ部分をベルトなどに引っ掛けるベルト・クリップもついている。
これはNovoが現代に蘇ったようなものだ。このホルスター・グリップを起こして、射撃体勢をとるのだが、Novo同様、グリップは握りにくそうな格好である。
ピストルを折りたたむ、という発想は現在では他に例は無い。フォールディングナイフ同様、たたむ事である程度の安全性は確保している。しかし、完全ではない。また小型化についても、必ずしも十分とはいえない。
ナイフとは異なり、この折りたたみピストルのアイデアは、現代の市場には、ほとんど受け入れられなかったと考えるべきだ。今後、折りたたみ式ピストルが、新たに登場する可能性はないわけではない。しかし、単にグリップをたたむというものでは、注目を集めることは出来ないだろう。
Satoshi Maoka
Nov.10, 2002
Revised Nov.12, 2002
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