Sako & Tikka RECALL サコー&ティッカ欠陥回収
Sakoのライフル・リコール・ニュースは世界を駆け巡った。リコール情報が流れたのは2004年の10月の事だったが、3ヵ月経過した現在もまだ完全には収束してはいない。
他の工業製品と同様、銃も市販された後、特定の製品ロットに欠陥が見つかることがある。先日、私はBeretta M92Fの話を書いたが、あの中で語られているスライド破損事故もそのひとつだ。
92Fの場合、アメリカ軍制式ピストルであると同時に、その選定において大いに物議を醸したことで非常に注目される存在であった。そのため海軍の特殊部隊で集中的に事故が発生したことは、世界中に一気に広まった。
すでに20年近く前の事であり、当時の様子を窺い知ることはできないが、おそらくベレッタは初期対応にも問題があったと思われる。スライドの破損原因をホットロード弾を使用し続けた為と決め付けたらしい。この思い込みがあったから、迅速な対応ができなかったのではないだろうか。
結果として、M92F(M9)のスライドは3000発発射後に交換対応する、という不名誉な臨時対応策をアメリカ軍にとられてしまうことにつながった。
92Fについては今でも、スライドが弱いと思い込んでいる人がいる。構造上、open top slideはダメだという考えだ。
しかし92Fはその後、適切な製造手法を履行する事でこの問題の再発を防止した。強化型ブリガディール・スライドや、スライド破断時に対応するFS化改造、あるいは新設計のクーガーM8000といった製品の登場が、あたかもノーマルの92Fスライドは弱いという印象を一般に与えることにも繋がったように思える。
だが依然としてノーマル・スライドの製品は標準モデルとして存在し、アメリカ軍制式のM9は現在もなおノーマルのままだ。10万発耐久再試験をおこなったXM10トライアルでも生き抜いたM92Fには、もはやスライドが弱いという問題はない。しかし一度できてしまった悪評は容易に消せるものではない。
リコールとなった銃は決して少なくない。SIGもRugerもGlockもリコールを経験している。しかしそれが小規模なものであれば、人々の記憶にはほとんど残らない。迅速な対応、的確な情報開示がリコールという不名誉な問題を早期に解決する。
SAKOの場合はどうか?問題が顕在化したのは2004年秋の事だ。情報が駆け巡るのは早かった。Beretta/Sakoからリコール情報もディーラーに通告された。しかしフィンランドのSako、イタリアのBeretta, アメリカのBerettaU.S.A.のweb siteには一切、その情報が載らなかった。ご存知の通り、Sakoは現在Beretta holdingsの傘下にある。
情報が広く伝わったのは、インターネット上の個人または団体の銃関係サイト及びフォーラムによるものだ。
今回のリコールは生易しいトラブルではない。Catastrophic(壊滅的な)という言葉が適切な事故なのだ。
リコールの内容は、2004年2月以降出荷したSakoおよびTikkaブランドのライフルのバレルが炸裂する可能性があるというものだ。それは長期間使用した場合でも、ホットロードを撃った場合でもない。事故が起こった銃は、極めて早い段階でこの問題を引き起こしている。


ここに3枚の写真がある。これはカナダのガンスミス、Mr. Dennis Sorensenより掲載の許可を頂いたものだ。
これを撃ったシューターはHornadyの300Winchester Magnumファクトリーロードを14発射撃し、15発目にFederalのPremiumをロードして射ったところ、銃身が炸裂したという。新品の銃がわずか15発でバラバラになったのだ。幸い、シューターに大きな怪我は無かった。しかし銃身は完全に3つに割れており、フォアエンド部分はグシャグシャになっている。ボルトは無事のようだが、レシーバーは真っ二つになった。炸裂したときのケースは、ボトムの部分はそのままだが、それより前の部分が大きく3つに広がって裂けている。
恐ろしい写真だ。
原因は銃身の材質にある。何らかの理由で質の悪いステンレス材で銃身を製造してしまったことが、この事故の原因だ。その可能性のあるステンレスバレルの付いた銃が市場に3000挺も出回ったという。
BerettaおよびSakoは、リコール情報をディーラーと、特定できる個人ユーザーに通告した。しかしweb siteに載せず、あまり表沙汰にしないように回収しようとしたらしい。
これは適切な対応だとは思えない。ユーザーがネット上で問題提起し、遂にSHOT SHOWを主催するNSSF(National Shooting Sports Foundation)が2005年1月17日、リコール情報を報じた。
RIFLE RECALL . . . About three thousand rifles sold under the Sako and Tikka labels have been recalled following catastrophic failures, but a small number of guns sold in the American market remain in the hands of owners who apparently have not heard about the recall. A weakness in the stainless steel used to manufacture rifles last year has led to ruptured barrels. Contact the Sako/Tikka Recall Center immediately at 800-503-8869 with your rifle's serial number to find out if your firearm is affected.
たしかにSakoおよびBerettaは、某自動車メーカーのようにリコール隠しをしたわけではない。あまり目立たないように回収をおこなったのであって、リコール情報は確かに発表した。
しかし3ヵ月が経過しても該当する製品のすべてを回収し終えてはいない。殆どは回収されたようだが、回収漏れが1挺でもあれば、新たな事故が起こる可能性がある。
サコーもベレッタも一流メーカーだ。この問題を自社のweb siteで報じないのは間違いだと思う。リコールの内容から判断する限り、できるだけ隠すのではなく、逆にtop pageに大きく表示し、すべてのユーザーに広く警報を出すべき問題だ。
問題が起こった時の対応の良し悪しは、その企業の評価に大きく影響する。
問題の製品は、シリアルナンバーが419140 から461951のものに含まれている。この間のナンバーが打たれた製品すべてがリコールの対象ではない。問題があるのは、その中のごく一部だという事だ。
しかし、もしこの間のシリアルナンバーが打たれたSakoおよびTikkaの製品を持っているのであれば、速やかに購入した銃砲店に連絡を取るべきだ。あるいはSako、Beretta, Beretta USAに連絡を取る事でも良いだろう。
リコール製品に該当するものはSako 75 Stainless SyntheticおよびTikka T3 Stainlessだと言われている。しかし、SakoおよびTikkaを2004年2月28日以降に購入したすべてのユーザーは、念のため銃砲店等に確認を取ることをお勧めする。事故が起こってからでは遅いのだ。
Jan.27, 2005
Satoshi Maoka
Special thanks to Mr. Dennis Sorensen
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