Ruger Red Label All-Weather ルガー・レッドラベル オールウェザー by M.T.
日本では、銃器愛好家以外には余り有名ではないSturm Ruger(スターム・ルガー)。 しかしアメリカ本国では、ハンドガンからライフル、ショットガン、そしてSMGまで製造する、数少ない純アメリカ資本の総合大手銃器メーカーである。
ボルトアクションライフルのM77や、軽量自動ライフル銃のMini30などのヒットで、ライフル・シューターや大物ハンターには、日本でも徐々に名が知られてきているようだ。
しかし、Sturm RugerのO/Uをクレー射撃場で使っていると、 「その銃、どこのですか?」」と年輩の方に聞かれ、「ルガーです」と答えると十中八九、「ルガー?あのドイツ軍のルガー?」と言う返事が返ってくる・・・ショットガンの世界では、まだまだ知名度は低いようだ。
筆者は以前から、Ruger Red labelなるO/Uの存在は知ってはいたが、正直に言うと、特段にそそられる物ではなかった。
ところが2000年秋頃、Ruger社から、シンセストック&オールステンレスO/Uが出た事を知り、Red labelへの関心は一変する。
当時、オールステンのO/Uと言えば、200万円を越す、トンデモ価格の物しかなかったのだ。今年、国内のメーカーからオールステンのO/Uが発表されたが、安くなったとは言え, \900,000である。¥900,000と言えば、格安の普通自動車が買える金額だ。
Sturm Ruger社からリリースされたAll-Weather Red label と言うオールステンレスのO/Uは米国での標準小売り価格が無彫刻モデルで$1,400程度と言う、スタンダードなO/Uと大差ない価格で発表されたのは驚きだった。
材質も多少違うのかも知れないが、それでも破格である事には間違いないと思う。日本でもグレード、仕様によって、20万円台前半〜中盤で売られている。
目立つ銃大好きの筆者は、値段も大したことがないので、早々に普段お付き合いしているガンショップに注文したが、正規輸入元には在庫が無く、入荷が何時になるか分からないと言う。
売る気が有るのか、無いのか分からない輸入元の返答に見切りを付け、知り合いのツテで、並行輸入をしているショップに注文し、数ヶ月後にはAll-Weather Red label (28”)を入手した(当時購入金額¥230,000-)。
許可を貰い、銃を引取り、確認を済ませ、早速試射に挑む。日本の治安のためには銃に関する諸々の制限は致し方ないと思うのだが、もう少し何とかならんかなと、いつもこの時ばかりは思ってしまう。
水平二連銃には良く装備されているのだが、この Red label には、開閉レバーを操作するたびにセフティーがかかるオートマチック・セフティが装備されている。射撃が殆どの筆者には、装填のたびにセフティーがかかり、ついうっかり解除し忘れたりして結構面倒だ。
この後、何度もセフティー解除を忘れて、むなしくクレーを飛ばさせてしまったが、元々は狩猟向けモデルで有るので致し方ないのだろうと諦めた。しかし後日、オートマティックセフティーは部品を一つ加工して、機能しないようにした。
ステンレスと言えば、【ステン=錆びない】と言う印象が有るのだが、ステンレスは、あくまでも錆びにくいのであって、錆びないわけではない。筆者のRed labelも、撃って数週間放って置いたら、薬室の中が、うっすらと赤くなっていたことがある。
今のところ、外観で錆びた所はないが、仮に錆びても、普通のスチールのようには酷く錆びないし、何ら着色、塗装の処理をしていないので、コンパウンドか細かいペーパーで磨いてやれば済むことである。ブルー仕上げの場合、こうはいかない。
ちょっとした錆を、ペーパーなどで落として、市販のガンブルーを使って補修しようとして、泣きを見た人は多いのではないだろうか?
構えてみて、まず感じたのが、矢先の重さである。ステンレスの比重と、ドンガラのシンセストックが関係しているのだろうが、先重傾向である。先が重いので扱いにくいと思われる方もいらっしゃるだろうが、それは誤解だ。
一般射手で、外す原因で多いのが、先走り&早く振りすぎで標的を撃ちきれず追い越してしまい、標的が飛んでくるのを待ち、引き止まりを起こすことである。これは先が軽いほど発生しやすい(上級者は矢先のコントロールがきちんと出来るので、軽めの方が使いやすい)。“構えてみた感じが楽だから当たる”と言うほどクレー射撃は単純な物ではない。
時々、初心者は銃の振りは遅くてクレーに追いつかず、後ろを撃ってる云々等と聞くことがある。
注意深く見ていないと、振りが追いついていないように見えるのかも知れない。
しかし、実際には、殆どの人は、先走り&早く振りすぎで追い越しざまに標的を撃ちきれず、結果、標的を追い越してしまう。標的が飛んでくるのを待つために引き止まりを起こし、クレーが追いついてきたときに発射の決断をするのだが、弾が到達する頃にはクレーは再び先に行ってしまい、クレーの後ろを撃つのである。
幾ら撃っても本当にクレーに追いつかなくて、ケツを撃つようなシューターは、こう言っては申し訳ないが、この先、見込みは薄い。しかし、実際にそのような人は殆ど見たことがない。
今度射場に行ったら、上級者の射撃をよーく見て欲しい。確かに彼らは早い位置でクレーを撃破してはいるが、決して銃を早く振り回してはいない。
銃を振る角度など知れている。きちんと芯がぶれずに銃が振れていれば、早く振り回す必要なんて無い。
彼らは軸ブレなどの無駄な動きが無く、追いついたら間髪入れずに引き金を落としている。中級以下の射手のように、だらだらクレーを追う事はしないのだ。
よく見てないと、上級者は早く振ってクレーを早く撃っているように感じてしまうのだが、これを早く振ることで真似てみようとすると、はずしまくり泣きを見ることになるのがオチである。我ら中級以下の射手は、矢先がブン廻せないくらいが丁度良いと思う。
さて、話しを元に戻そう。スキートでの実射だが、まぁ、正直言うと、お世辞にも感触の良いトリガーとは言えない。まぁ、値段も値段であるからして、松葉バネ使用の上下と比べるのも酷だろう。狩猟用オートよりはマシかなと言う感じである。
スキート初撃ち(ISSFルール)は、不慣れな感じがしたのだが、なんだかんだで最初のラウンドは19点。次Rでは23点が出た。筆者も外すときは、先走りしてしまい外すことが多いので、この先重さが丁度良いようだ。
この日は、結局、最初の19点以外、20は切らなかった。正直に言えば、このスコア、ヘタクソの筆者には出来 すぎだ。この結果から判断すると、安い銃ではあるが、別段、命中には問題がないと見た。
別の機会にトラップも撃ってみた。普段トラップは撃たないので、公式セットは遠慮させてもらい、練習射台でのテストである。交換チョークは下1/2(MOD.)、上FULLにした(3/4は付属していない)。
少々、ベントが深めのせいもあってか、なかなか当たらない。狙い目を変えて、かぶせ気味に撃ってやっと当たり始めた。
出だしで、狙い目が分からず、14点を撃ってしまった(前半殆ど外し)が、ある程度狙い目が分かってからは17〜20点くらい、当たるようになった(筆者は従来所持しているトラップ銃でもこんなものだ)。
調子が良いとルガーでも23点出たこともあるが、次のラウンドで意気込んで15点なんて事もあった。15点なんて銃のせいにしたいのであるが、ほぼ100% 銃の手前の問題であろう・・・。
リブが眩しいのではないか?とよく質問されるが、筆者は特にそう感じたことはない。リブ上面には反射防止の編み目が切ってあり、その部分は磨いていないので、テカってはいない。・・・・逆光自体は眩しくて困るのだが、逆光の時などにリブや銃が眩しくて困ったことはない。
(私事で恐縮だが、本編執筆中に 本銃を用い、スキートで FULL-MARK を撃つことが出来た!)
チャンバーは3inch対応だ。交換チョーク式で、付属チョークはスキート2本、IC,MOD, FULLの計5本が付属していて、使いやすいチョークレンチとワイヤーロックが同梱されている。
最近のアメリカ製、またはアメリカ市場を経由して入ってくる銃の多くは、キー式のセフティーが組み込まれていたり、トリガーにかぶせるタイプの鍵、ワイヤーロック等が付属している。

細かいところを見てみよう。
普通、O/Uには回転動作の支点が有り、通常は1本のピンが打ちち込まれていたり、栓状の物がネジ込まれていたりするが、Rugerはキャステイングでレシーバーと一体作られている。後付けではない。
さすがインベスティメント・キャスティングでならしてきたRugerだと感心させられる。後付けではないので、交換は出来ないが、この部分をダメにしたなんて聞いたことがないので、耐久性に問題はないはずだ。
そして、銃身元金下部には通称『ダボ』と言う、四角い出っ張りがある。この四角の出っ張りは、レシーバー下部に空いている四角の穴と噛み合う。
これが有ると無いとでは耐久性にかなりの差が出る。ちなみに日本でも人気のある欧州製輸入銃には、この「ダボ」はない。そういう銃は、見せかけの完成度と違い、結構早くガタが発生する。
 
左はハンマー・ブロックが機能している状態だ。右はトリガーを引いたことにより、ハンマー・ブロックが解除されている。
次に撃発機構を見てみよう。どうってことないコイル式であるが、トリガー周りを見ると、トリガーを引いていない限りハンマーがファイアリングピンを叩けない構造になっている。
引き金を枝などに引っかけてしまうと暴発は防げないが、装填されたまま銃を落としてしまった場合などの暴発は高い確度で防止できる構造だ。現代のセミ・オートマチック・ピストルやリボルバーでは、ほぼ標準装備の安全機構と同じだ。
内部の部品も、ネジ、バネ、ピンを除けば細かい部品まで殆どステンレスで出来ている。オールステンレスの看板に偽り無しと言ったところだ。
少々、驚いたのは、このリブの取り付け方法である。上銃身の上に取り付けられた柱にレール状の物を差し込んで、1点で固定してあるだけである。一応、噛み合っていて新銃時は分からないのだが、100発も撃てばリブをつまむと動くのが判るようになる。このまま、どんどんユルユルになっていくのかと少々心配したのだが、最初に少し緩くなったきり、進行は止まった。
随分安直な工法と思いがちであるが、銃身は結構熱くなる物である。熱くなるということは、熱膨張を起こすと言うことだ。銃身に比較して、余り熱くならないリブは熱膨張もあまりしない。と、言うことは銃身とリブでは膨張の度合いが違うことになる。これはリブの剥がれ等の原因となるが、Rugerの製法なら、リブ剥がれはまず起きないと言えるだろう。これまたかなり合理的である。
レシーバーとバレルの接合部は、解放時、国産&欧州製のO/Uと違い、ユルユルである。まるで使い込んだ銃のような感じを受ける・・・。よって、普通の新銃にありがちな、『よっこらっせ!』と力を入れて折る必要は皆無だ。国産に慣れた私には、ユルユル過ぎて少々頼りないのであるが、閉鎖時は当然のことだが、きっちりガタ無く閉鎖している。要はちゃんと使えれば良いと言う事なのだろう。
知り合いのレッドラベル所有者は皆、口を揃えて言うのだが、幾ら撃ってもそのままの状態を維持し、緩さが進行することはない。
閉鎖機構は、ベレッタ68xシリーズと似ていて、レシーバー包底面両サイドから2本の太いピンが出てきて、バレルブロックにある2つの穴に入ってロックする構造である。見えない部分の仕上げは結構粗い。
ストックは、日本のスポーティングに近い。フィールド射撃に丁度良さそうだ。スキートに使うなら、少し短くした方が良いだろう。比較的厚みのあるパッドなので、薄いパッドを使えば大丈夫な感じだ。トラップにはベントが深めなので、少々かぶせ目に撃つかベントカバーを付ける、 パテを盛る等で、ベントを浅くした方が良いかと思う。各々、自分の技量、使用目的に少々工夫をしてやる方が使いやすくなるだろう。
この、オールステンレス製O/U、Sturm Ruger All Weather Red Labelは良い銃だろうか?、
人によって、大きく評価が分かれると思う。仕上げはお世辞似も良くないし、トリガーフィールもイマイチで、躍動部はガタのある印象を受ける。
高級銃を使い慣れている人にはたぶん、容認できない銃であることは想像に難くない。
確実に弾を発射すること、命中させること、堅牢性と安全性能、これらが銃の基本性能だ。仕上げの良し悪しなどは、別の次元の話しだ。
Ruger Red labelは、この基本性能が極めて高い。加えて、メンテナンスがルーズでも、大らかに受け入れてくれる許容性、ズバ抜けた耐候性の高さ、そして価格の安さ。
Ruger Red labelは、とにかく素晴らしい銃である!、とは言わない。しかし、メリットとデメリット、価格を考慮すると、それなりの価値がある銃であると思う。
『雨の日には射撃も猟にも行かないよ』と言う方や、銃なんて錆びようが構わんと言う方には、メリットは少ないかも知れない。しかし、『天気が悪くても鉄砲撃ちに行きたい!しかし銃が濡れるのは(錆びるから)イヤだ!』と言う方や、まめな手入れが嫌いな方にはいいパートナーになる可能性があると思う。
カッコだけで買うのは余りお勧めしない。Red labelは、「何が何でもサイコーなのだ」とは筆者も言わない。良い点もあるが、それなりに悪い点もある。自分の好み、感性と用途を総合的に考査して、判断して欲しい。

このような天候では、高価な上下二連は使用するのを、ためらってしまうのが普通の心理だろう。 しかし、全天候型レッドラベルなら、こんな雨など、気にならない。 長野県菅平射撃場にて
Sep.29, 2002
Revise Oct.8, 2002
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