△ 2006年11月23日 長瀞射撃場トラップ第1射場の射台から見た景色

What can be done to successfully manage lead
                                      2006年11月26日掲載

 埼玉県長瀞射撃場は2004年埼玉国体のクレー、およびライフル射撃競技の会場であった。鉛による土壌、水質汚染問題により2001年11月より、クレー射撃場は休場となり、埼玉県は常識では考えられない莫大な経費をゼネコンに支払って鉛を回収、紆余曲折の末、国体でのみ、クレー射撃場を再開した。その後、再度、鉛を回収しクレー射撃場を休場とした。
 2004年4月、Shooting Tipsでは国体開催前の長瀞射撃場の現状を紹介した。あれから2年7ヶ月、クレー射撃場は依然として休場となったままだ。
 本当にクレー射撃場周辺から高濃度の鉛が検知されたのだろうか。なぜ一般の射撃場周辺では土壌汚染数値が基準値以下で、長瀞等、公営射撃場周辺のみで高濃度の鉛が検出されるのだろうか。

              トラップ第1射場から第2、第3、スキート射場を臨む

 射撃場周辺の鉛汚染問題は、海外を中心に様々な形で対策がおこなわれている。アメリカ合衆国環境保護庁(EPA:United States Environmental Protective Agency)発行のBest Management Practices for Lead at Outdoor Shooting Rangesは、鉛弾の回収手法と土壌のpHコントロールによって鉛汚染を除去する技術マニュアルだ。
 射撃場の形は一定では無い。それぞれの射撃場にあわせた対策手法を考える必要がある。Best Management Practices for Lead at Outdoor Shooting Rangesには鉛弾の回収を助けるバックストップ、サンドトラップ、スティールトラップ、ラバートラップ、ショップ・アブソービング・コンクリート(SACON)、土壌のpHコントロールとして石灰(lime)、もしくはリン酸塩(phosphate)を撒く手法、鉛の拡散をコントロールするための植物の育成、そして鉛弾を回収する地面構造、吸引手法等、さまざまな低コストかつ現実的な鉛汚染対策が紹介されている。
 長瀞射撃場もここにある手法を用いれば、確実に再開できるはずだ。

 “鉛は有害物質である。だから使用させない”。これは一見すると正論のように聞こえる。しかし、鉛を使用しても、環境を汚染しない手法がありながら、なぜそれに目を向けようとしないのか。
 非科学的な感情論やイメージ論、さらに利権?やエゴが先行していては、いつまでたってもこの素晴らしい設備を再開できないであろう。

 自然環境を守ることは大切だ。私たちは美しい地球を次世代、次々世代に遺していく義務がある。長瀞の紅葉を見て、改めてその当たり前の事実を認識した。人の営みは、自然にダメージを与える。しかし、科学と技術、意識と工夫で状況を改善することはできるはずだ。

 長瀞は埼玉県の西北部、荒川の中流域に位置する。“瀞”とは、河水が深く流れの静かなところを意味する。長瀞は、水が静かに流れることから、その名が付いた。水の流れの色合いがその深みの碧を増す秋には、長瀞岩畳対岸の紅葉もその彩りを濃くする。2006年秋は気温が高く、葉の色付きは遅れ気味であった(2006年11月23日撮影)

Nov.26, 2006
Satoshi Maoka

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