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| Heckler & Koch Fabarm Sporting Clays Competition Extra ヨーロッパにおいて、ショットガンはスポーツおよび狩猟用の銃であるという認識が一般的だった。その為、軍および警察がショットガンを用いることは長い間、考えられなかった。一方、アメリカでは多少、事情が違う。ショットガンがスポーツ・狩猟用の銃であることは言うまでも無いが、昔から軍や警察もショットガンを有効な武器として用いてきた。 これはワイルドウエストの時代から続く伝統だ。保安官やステージコーチ(駅馬車)を護衛する者の手に、短い銃身のサイド・バイ・サイド・ショットガンが握られていた。無法者に対する強烈な威圧。短く切り詰められたショットガンの効果は至近距離に限っては絶大だ。それ以来、1世紀以上にわたって警察活動にショットガンは欠かせない装備としてきた。 ヨーロッパの軍は、至近距離における面的制圧用武器としてサブマシンガンを活用したが、アメリカ軍ではサブマシンガンが普及する以前から、ショットガンがその役割を担っていた。 ヨーロッパの軍、警察がショットガンを装備するようになるきっかけは1970年代の西ドイツで始まった。テロが続発した当時、西ドイツは過激なテロリストを戦うために、その警察装備を大幅に強化する必要に迫られた。 その装備強化の一環として、特殊部隊によるショットガンの装備が検討された。しかし、当時、西ドイツで公的機関に装備を供給していたメーカーでショットガンを製造していたところはない。 どうやらショットガンは、ドイツ人の感覚にあまり向かないものらしい。ドイツは19世紀末以降、優秀な銃器を多数開発してきた。しかしドイツ人の手により設計されたショットガンは少ない。 ヨーロッパにおけるショットガンの供給元はイタリアに集中している。 弾が1点に集中するのではなく、適度に広がっていくショットガンは、ラテン系の感覚に向くようだ。その反面、イタリア人はマトモなライフルが作れない。 西ドイツ警察がショットガンを装備するといっても、その絶対数は多くはない。新たに自社開発することは得策ではないと考えたヘッケラー&コッホはイタリアのフランキと提携した。 フランキのモデル80をベースに、セミオートのHK502ショットガンを開発、市場に投入した。民生用ショットガンと比べて特別な機能があるわけではないが、ドイツの特殊部隊GSG9、SEKなどがそれを採用した。その後、異なるレシーバーを使ったHK512はオーストリアの特殊部隊が採用したが、フランキとヘッケラ−&コッホの関係は長く続かなかった。 1979年、アメリカではRHINO (Repeating Handheld Improvement Non-rotating Ordinance) projectがスタートした。軍用コンバット・ショットガン開発計画だ。これはやがてMIWS(Multi Purpose Individual Weapon System) に受け継がれた。ヘッケラー&コッホはウィンチェスター・オリンと提携し、H&K Olin CAWS(Closed Assault Weapon System)を開発する。 一方、ヘッケラ−&コッホUSAはシビリアン・マーケット及び公的機関向けの分野に向けて、ショットガンをラインナップに加えるべくイタリアのベネリ社と提携した。 ベネリ社は新興メーカーであったが、セミオートマチック・ショットガンの分野で、イナーシャ・リコイル・システムを武器に市場に浸透していった。アメリカではヘッケラ−&コッホUSAがエクスクルーシヴ・ディストリビューター(Exclusive distributor)としてベネリ・ショットガンの販売をサポートした。 ヘッケラー&コッホの得意とする分野は、公的機関マーケットだ。セミオートのベネリM1、そしてセミオートとスライドアクションの切り替えが可能なM3のタクティカル・モデルが警察およびセキュリティ用として販売された。その他、スポーツ、狩猟向けとして、Black Eagle, Super Black Eagle, M1Super 90, Montefeltro Super 90, M1 Sportingなどを投入した。 ベネリ・ショットガンはアメリカでは“HK Benelli”として販売された。ヘッケラ−&コッホのブランド力が、民間市場でベネリの販売量を押し上げる力となったことは間違いないだろう。 そして新たに開発したベネリM4ショットガンがXM1014としてアメリカ海兵隊が採用するに至った段階で、ヘッケラー&コッホとベネリの提携は解消された。M4がアメリカ軍に採用された背景にはヘッケラ−&コッホの果たした役割は決して小さなものではないだろう。 しかし提携は会社間の契約だ。さまざまな力学が作用して、その方向性が決まる。ベネリは既にベレッタの傘下企業だ。独自ブランドとして力を付けた以上、ヘッケラー&コッホとの提携にベネリ側はもはや価値がないと解釈したのだろう。 ヘッケラー&コッホUSAは新しい提携先を探した。かつて提携していたフランキも、既にベレッタ・ホールディングが所有している。 ベネリもフランキもベレッタ・グループであるということは、ベレッタはイタリアの主だったショットガンメーカーをほぼ掌握していると言うことを意味する。 ベレッタの息が掛かっていないメーカーとして有名なところはペラッツィ(Perazzi)だ。しかし高級ショットガン・メーカーとしてブランド力を持つペラッツィは、ヘッケラー&コッホUSAの提携先とはなりにくい。その他のイタリアン・ショットガンメーカーRizzini, Fabbri, Falcoなどの中からヘッケラ−&コッホUSAが選んだのがFABARM(ファバァム)だ。1997年の事だ。
FABARMはFabbrica Bresciana Armi S.p.A. の略で1900年に設立されたショットガン・メーカーだ。その源流は古く、ブレッシア(Brescia)のガンスミスに遡ることができる。歴史はあるもののアメリカには輸入代理店はなかった。FABARMにとってH&Kとの提携はアメリカ進出の大きなきっかけとなった。
今回、画像を載せた特殊な表面処理を施した製品もそんなH&K FABRAMのひとつで、HECKLER & KOCH FABARM SPORTING CLAYS(S.C.) COMPETITION EXTRAと呼ばれている。Lionブランドの上下ニ連にカーボンファイバーの表面処理を施したものだ。
カーボンファイバーは、熱および薬品に対する耐性が高く、また独特の結晶構造の特性により自己潤滑性も高い。 March 1, 2005 |
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