![]() |
|||||
|
The History of German police Pistols Chapter 5-2 5-1 Page1: ドイツ警察新制式トライアル要求項目, ワルサーP38K |
|||||
| SIG Sauer モデルP220 ピストル ジグ・ザゥアー社(SIG/SAUER)は、ドイツ警察のトライアルに、スイス軍用ピストルとして開発されたモデルP220ピストルを提出した。当時、ドイツ警察の要求スペックに合致する短縮型の9mmパラべラム口径ピストルを、生産していなかったジグ・ザゥアー社は、まず、すでに生産しているモデルP220ピストルを、ドイツ警察トライアルに提出したのだった。 ジグ・ザゥアー社の提出したモデルP220ピストルは、従来のモデルP210ピストルに代えて、スイス軍が新世代の軍制式ピストルに選定した製品だった。 それまでスイス軍が軍制式としていたSIGモデルP210ピストルは、スチール・ブロックからの複雑な削り出し加工によって製造されていた。この手間のかかる工程で生産されたモデルP210ピストルは、高い精度と品質をもっているものの、製造コストが高く、軍用ピストルとしてはぜいたくな製品だった。 スイス軍は、軍事費圧縮のため、モデルP210ピストルに代わる単価の安いピストルを求め、これに応えてスイス・ジグ(SIG)社がモデルP220ピストルを開発した。 最初ジグ社は、モデルP210ピストルのスライド部分を、プレス加工により生産できるようにした試作などをおこなった。しかし、これらの部分改良された試作ピストルでは、コスト軽減に限界があり、射撃精度上からも問題が出た。そこで、ジグ社は、まったく新しいピストルを設計することになった。 ジグ社が目指したのは、製造のロー・コスト化だ。フレームは、アルミニウム・アロイ(アルミ合金)を用い、コンピューターで制御されたマシーニング・センター(NCマシン)で自動的に切削加工を連続しておこなう。スライドは、ヘビー・ゲージ・シート・メタルをプレス加工し、溶接で結合させて製作した。 工作がめんどうなスライド後端のブリーチ・ブロックは、スライドと独立させて別に製作し、スライドに組み込む方式がとられた。 初期のものは、ブリーチ・ブロックを1本のスプリング・ロール・ピンでスライドと結合していたが、ブリーチとスライド間にゆるみが出たところから、後の製品は、2重にしたダブル・スプリング・ロール・ピンに変更された。 プレス加工で成型されたスライドは、当時の感覚で、安物ピストルと見られがちだった。しかし、モデルP220ピストルは、高精度で作られており、プレス成型のスライドにありがちなガタつきもなく、高い集弾性能を発揮した。 モデルP220ピストルのもう一つの大きな特徴は、マニュアル・セフティがないことだった。 軍隊におけるピストルは、通常の戦闘よりも緊急時にその威力を発揮する。そのためには、即応性に優れていなくてはならない。 マニュアル・セフティを操作することなしに、トリガーを引くだけで発射が可能、しかも安全に携帯できること。これは、リボルバーでは当たり前のことであるが、当時のセミ・オートマチック・ピストルでは、リボルバーに相当する即応性を持つ製品は少なかった。 過去にカール・ワルサー社は、セミ・オートマチック・ピストルに、ダブル・アクション・トリガーを組み込んで成功した。 しかし、カール・ワルサーの開発したモデルPP/PPKピストル、後にモデルP38ピストルになったモデルHPピストルなどは、いずれも弾薬をバレルに装填した後、安全を確保するためにマニュアル・セフティ(手動セフティ)をロックしておくことを前提にしていた。 構造上、マニュアル・セフティを解除しておいても、ハンマー・ブロックや、オートマチック・ファイアリング・ピン・ブロックが機能するため安全性は確保されている。 しかし、マニュアル・セフティが装備されていると、セフティをロックするか解除しておくかの選択肢がうまれる。 セフティを解除して携帯するように訓練された警察官が、セフティをロックされたピストルを知らずに携行した場合、まごついて即応性に大きな問題が起こる。 緊急事態にピストルを取り出し、トリガーを引いても弾薬は撃発しない。警察活動において、射撃すべき時に撃てなければ、重大な事態に発展する可能性がある。 しかし、マニュアル・セフティがなければ、セフティをロックしてあるか解除されているかいちいち確認せず、ただちに緊急事態に対処できる。ダブル・アクション・トリガーと、オートマチック・ファイアリング・ピン・セフティのみによって、安全性を確保するモデルP220ピストルは、まさにそのような緊急事態に対する即応性において優れたピストルだった。 操作性を考慮すれば、スライドに装備されたデコッキング・レバーよりも、グリップした手で操作しやすいフレーム側のデコッキング・レバーが有利だ。 モデルP220ピストルは、前制式のモデルP210ピストルのマニュアル・セフティ設置位置にデコッキング・レバーを装備させた。 ちょうどスイスのジグ社で新制式ピストルの開発が進められていた頃、ジグ社は、ドイツのザゥアー・ウント・ゾーン社を買収して傘下におさめた。そのため、新型ピストルには、ジグ・ザゥアーがモデル名として用いられるようになった。 ジグ・ザゥアー・モデルP220ピストルは、ダブル・アクション・トリガーとハンマー・デコッキング・レバー、そして、スライド・ブリーチ内にオートマチック・ファイアリング・ピン・セフティを装備させることにより、マニュアル・セフティを無くし、即応性の高いセミ・オートマチック・ピストルとして完成された。 ジグ・ザゥアー・モデルP220ピストルは、以前のモデルP210ピストルが備えていた優美さとは縁遠い、実用本位の生産性が高いピストルだった。しかし、このピストルでとられた設計コンセプトは、この後、多くのメーカーによってコピーされることになった。 ドイツ警察ピストルのトライアルに提出されたモデルP220ピストルは、要求スペックに対して大型だった。 ジグ・ザゥアー・モデルP220ピストルは、ワルサー・モデルP38ピストルのようにバレルが露出型でなく、単純にバレルを切り詰めて短くすることができなかった。トライアルまでの時間的な余裕がなく、わずかながら要求スペックを超えた189mmの全長のままで提出された。 しかし、ジグ社に買収され傘下に入ったドイツのザゥアー・ウント・ゾーン社では、ドイツ警察の新制式ピストルを目指したモデルP220ピストルの切つめ型の開発と試作が、急ピッチでおこなわれていった。 ヘッケラー&コッホ・モデルP9Sピストル
モデルP9Sピストルのダブル・アクション・トリガーは、スムーズで優れた操作性をもっていた。当時、多くのセミ・オートマチック・ピストルに組み込まれたダブル・アクション・トリガーは、緊急時にトリガーを引くことだけで射撃できることだけを前提に、重く大きな力を必要とするものであり、正確な射撃は期待できなかった。 The History of German police Pistols Chapter 5 5-1 Page1: ドイツ警察新制式トライアル要求項目, ワルサーP38K |
|||||