The History of German police pistols 3-2

                      

Chapter 3 : ワルサー復活 1950-1969
3-1 Page1: 東西分裂、Manurhin Walther PP, PPK、FN M1910, M1922
3-2 Page2: MAB Model D, Walther PP, PPK、BKA, BGS
3-3 Page3: SIG P210-4
3-4 Page4: Walther P-1, Heckler & Koch 4

MAB モデルD ピストル

 MABモデルDピストルは、マニュファクチュール・ナショナール・ダルム・オートマチック・ド・バイヨンヌ(MAB)社が、ベルギーのFNモデル1910ピストルをベースに開発し、1933年から生産を開始した製品だ。
 当時MAB社が製造していたセミ・オートマチック・ピストルは、MABモデルAピストル、モデルBピストル、モデルCピストル、モデルDピストルと、いずれもストライカー方式で設計されており、ブラウニングの設計したピストルにおおきな影響を受けていた。
 MABモデルDピストルも例外ではなく、FNモデル1910ピストルの影響を受けて設計された。両者の違いは、セフィティの位置がトリガー後部に移されたことと、マガジン・キャッチがプッシュ・ボタン式に改められ、全体のシルエットが変わり、サイト・システムがスライド上面に設定された大型のものに改められたことなどだ。
 第二次世界大戦中には、ドイツ軍によってフランスのMAB工場が接収され、ドイツ軍およびビシー政権向けにこのMABモデルDピストルが製造されていた。第二次世界大戦中にドイツ軍が使用したMABモデルDピストルは、51,160挺から54,000挺あまりだった。
 フランス解放後は、フランス警察のためにモデルDピストルの製造が再開された。戦後、西ドイツの戦後補償の一環として、西ドイツ警察武装用にMABモデルDピストルがフランスから購入された。戦時中にドイツで使用されていて、ドイツ人になじみの深いモデルであったことも、戦後の発注の理由の一つであった。

ワルサー・モデルPPピストル・マーク2、ワルサー・モデルPPKピストル・マーク2(Walther Model PP Mark II, Walther Model PPK Mark II)
 第二次世界大戦に敗戦したドイツは、銃器一般と弾薬の製造を禁止された。カール・ワルサー社は、ワルサー・ピストルの製造を、フランス・マニュリーン社でライセンス生産のかたちで再開した。南ドイツのウルムに再建されたカール・ワルサー社は、製造が許されていたエア・ライフルやエア・ピストルの生産を最初におこなった。ドイツ製の高級空気銃が、射撃競技などで比較的高い評価を得てきた背景には、戦後の一時期、多くの優秀な銃器技術者が、製造許可のでていた空気銃の開発や設計に参加していたことがあげられる。
 1951年から1952年にかけてフランス・マニューリン社によって、ワルサー・モデルPPピストルと、モデルPPKピストルの生産がスタートした。
 その後、ドイツで装薬ピストルの製造が解禁されると、ドイツのカール・ワルサー社自社によるワルサー・モデルPPピストルと、モデルPPKピストルの製造が、開始された。
 しかし、現実には、ピストルのほとんどの部品をフランスのマニューリン社が製造し、それら部品の組み立てを、ドイツ・ワルサーがおこなっていのが真相だ。
 このワルサー・モデルPPピストルやモデルPPKピストルの製造協力は、マニューリン社とカール・ワルサー社の提携が解消された1980年代末期まで続いた。
 それまでカリフォルニアのべネット・アームズ社が、アメリカに輸入・販売していたワルサー・ピストルの輸入代理店契約を、1956年にインターアームズ社が獲得した。Made in Germanyのワルサー・ブランドで、ワルサー・モデルPPピストルとモデルPPKピストルが、アメリカに供給されるようになったのをきっかけに、モデルPPピストルとモデルPPKピストルは、マーク2(Mark II)タイプに切り替わった。

  旧型とマーク2タイプの違いは、内部構造と外観の両面に見られる。ローディング・インジケーターのスプリング、ファイアリング・ピン、ハンマー・アクセルなどの部品形状が変更になった。またモデルPPKピストルのグリップは、それまでワン・ピースのベークライト製グリップ・パネルだったが、マーク2タイプでは左右から合わせるツー・ピースのプラスチック製のものとなった。スライド上面のサイト・システムも改められ、リア・サイト、フロント・サイトともに大きくなり、狙いやすくなった。また、従来コンチネンタル・タイプのマガジン・キャッチのモデルも存在したが、マーク2タイプになって、すべてプッシュ・ボタン式に統一された。

 ワルサー・ブランドのモデルPPピストル、モデルPPKピストルが登場すると、ドイツの各州警察はワルサー・ピストルを積極的に採用しはじめた。


連邦刑事庁(ブンデス・クリミナル・アムト:BKA)
 連邦刑事庁(BKA:ベー・カー・アー)は、ドイツ各州警察の上部に位置し、刑事警察機構として、全ドイツにまたがり防犯のために情報と資料を収集・分析する。連邦刑事庁(BKA)の本部は、フランクフルト北方の州都ブィスバーデンに置かれている。
 BKAは、研究機関や鑑識設備を保有しており、実際のの捜査技術ももっている。海外にまたがる国際犯罪の場合、国際刑事機構(インターポール)のドイツ側の中央局としても機能する。
 ドイツ国内で、テロや組織犯罪、人質事件など重大犯罪が発生した場合、あるいは州を超えた犯罪が発生した場合、BKAが犯罪捜査に出動し、各州警察の捜査の調整をおこなう。また、BKAは、連邦政府機関の警備、政府の要人警護も、主要任務としている。
 第二次世界大戦後、西ドイツでは、この連邦刑事庁(BKA)が、連邦政府の武装用として使用するスタンダート・ピストルをテスト選定し、西ドイツの11の州と特別州は別個にそれぞれ適当と思われるピストルをテストし、各州の警察が、その中から、機種を選択・選定する。しかし、連邦政府の連邦刑事局(BKA)で選択されたピストルの機種が、各州の選択に及ぼす影響は少なくない。
 1950年に各州の警察によって選定され、警察官武装用のスタンダード・ピストルとなったのは、ベルギーFNモデル1910ピストル、FNモデル1922ピストル、フランス・ユニーク・モデル17ピストル、スペイン・アストラ・モデル400ピストル、ワルサー・モデルPPKピストル、モデルPPピストルなどだった。
 1960年代末になると、警察で使用されるピストルのほとんどが、ワルサーモデルPPKピストルとモデルPPピストルに統一された。

        西ドイツの各州と紋章。各州警察の警察官は、制服に各州の紋章ワッペンを付けている。

連邦国境警備隊(ブンデス・グレンツシュッツ Bundesgrentzschutzes:BGS)
 連邦国境警備隊(BGS:ベー・ゲー・エス)は、西ドイツの連邦警察で、連邦政府の内務大臣の管轄下に行動する。
 連邦国境警備隊(BGS)は、その名前のとおり国境の警備を主任務とする。国境を通過する人や車両などの交通を監視し、密入国や密輸などの違法行為を取り締まり、国境地帯の安全をはかる。連邦刑事庁(BKA)の実働部隊として、連邦政府機関の警備も任務としておこない、海外のドイツ大使館や領事館などのドイツ公館の警備も担当する。
 加えて、国内で大規模なデモや暴動、反乱が起こったときにも出動する。従来、大がかりな政治的なデモには、この連邦国境警備隊が(BGS)が出動し、コントロールした。デモに関連して、近年粗暴化が顕著なサッカーやアイス・ホッケーの過激なファンのフーリガンのコントロールもおこなっている。
 また、過去には、鉄道の駅や車両内の警備もおおきな役割に組み込まれていた。しかし、ドイツ国鉄の民営化にともない、民営化されたセキュリティ会社が、現在この任務にあたっている。
 国境警備、政府交換警備、デモ、反乱鎮圧、鉄道、駅の警備など幅広く大がかりな行動を要求されるため、連邦国境警備隊には、州警察と異なり、軍隊に準じた迫撃砲、マシンガンに準じた火器、アサルト・ライフル、サブ・マシンガンなど、大型の火器類が多数支給された。
 ピストルについてみると、各州の警察が7.65mm×17口径を使用していた時期から、連邦国境警備隊は、州警察とは異なり、西ドイツ国防軍と同じ9mm×19を制式弾薬として採用・使用してきた。
 1973年,連邦国境警備隊(BGS)内に、対テロ作戦を専門におこなう特殊部隊の連邦国境警備隊第9グループ(GSG9)が創設された。
 当時ドイツは、ドイツ政府独自の判断で、ドイツ連邦国防軍(ブンデスベア Bundeswehr:BW)を海外へ派兵できなかった。海外で起こるドイツまたはドイツ人に対するテロなどに対処するため、軍ではなく連邦警察内に組織され、海外派遣も可能な特殊部隊としてGSG9(ゲー・エス・ゲー・ノイン)が創設された。
 1977年、パレスチナのテロリストによってハイジャクされたルフトハンザ航空の旅客機を追って、ソマリアのモガジシオで、人質に一人の犠牲者も出さず人質86名全員を解放して、GSG9は一躍有名になった。
 通常時のGSG9の任務は、連邦刑事庁(BKA)の実働部隊として、政府要人のボディー・ガードや海外ドイツ公館の警備を担当している。
 ドイツ連邦や西ドイツの州の存在を脅かす事態が発生したり、民主的な西ドイツの基本秩序が危機に直面する場合にも、連邦国境警備隊が秩序回復の実力行使部隊として出動する。

Chapter 3 : ワルサー復活 1950-1969
3-1 Page1: 東西分裂、Manurhin Walther PP, PPK、FN M1910, M1922
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3-3 Page3: SIG P210-4
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