スキート未経験者のためのルールとマナー  The rules & manners of Skeet shooting for inexperienced persons
 by Yuji Takase

スキート・シューターが少ないのはなぜか?
 クレー射撃人口の6割から7割は、トラップシューターであると言われている。誰かがアンケートをとったり、しっかり数えたわけではないので、正確なところは判らない。
 しかし、トラップ射台が混んでいても、スキート射台はけっこう空いていたりするところから判断して、この比率は概ね正解であろう。
 なぜ、こうなったのか。
 トラップの方がスキートより面白い、という事であれば、納得出来る。だれだって面白い方が良いに決まっている。
 しかし、射撃の内容をみる限り、トラップがスキートより断然面白い、とは思えない。むしろ変化に富んだスキートのほうが、面白い可能性は高い。
 にもかかわらず、スキートシューターの方が少ないのはなぜだろう。
 新たに射撃を始めたシューターは、最初ひとりで射撃に行こうとはあまり思わないだろう。射撃場で勝手がわからず、戸惑うことになるからだ。
 ゴルフなら、いっしょに行こうという知り合いは身近にたくさんいるだろう。しかし、射撃となるとそうはいかない。射撃人口から単純計算しても、1000人規模の会社に、銃を所持している人がいる可能性はひとりいるかいないか、というところだろう。
 だれかと撃ちに行きたい、そう思った初心者が一番てっとり早く仲間を作れる場所、それは銃砲店主催の射撃会である。主催者である銃砲店店主とは顔なじみであり、かつ自分はそこの客だ、という事実があるため、これはかなり参加しやすい競技会だといえる。
 銃砲店主催の射撃会の殆どは、トラップである。なぜトラップなのかは、いろいろな理由があると思うが、指導する立場としては、トラップの方が単純で教え易い、ということが考えられる。射手が銃を向ける方向が常に前方であるということからも、安全指導がやり易い。これは、シューターを自然とトラップ射台に向かわせる大きな理由かもしれない。
 初めて銃を購入しようとした際に、銃砲店でトラップ銃かスキート銃か、選択を迫られる。よく判らない初心者は、銃砲店にどっちにするべきか相談するだろう。その時、トラップ銃を勧められる可能性は高い。
 なかには、スキート銃を最初に買おうとしたら、「初心者はスキートなんかしちゃダメだ」と、ワケの判らない教育的指導を銃砲店から受けた、という話も聞いたことがある。
 教習射撃を受ける際、それがトラップだったということも、その後のシューティング・ライフに影響を及ぼす要素かもしれない。銃を所持する際の教習射撃は、多くの場合、トラップで行われる。もちろん希望すればスキートで行うこともが出来るだろうが、ルールが少し複雑なスキートで教習射撃を受ける人は少ない。銃砲店から、トラップを勧められているなら、なおさらトラップで教習射撃を受けるだろう。
 トラップのルールは単純である、ということもトラップが普及しやすい理由だろう。順番に左から右に5つの射台移動して、前方に飛ぶクレーを撃っていけばよいトラップは、基本的ルールを理解するのに1、2分もあれば十分だ。安全マナーの指導にはもっと時間が必要だが、少なくともルールは単純に理解出来る。
 それに比べて、スキートのルールは複雑だ。複雑とは、変化に富んでいるとポジティブに考えることも出来るが、初心者にとっては、ルールの複雑さも大きな障害だろう。
 いったんトラップで始めてしまうと、なかなかスキートに転向はしづらい。そこそこ当たるようになると欲も出てきて、なかなかトラップから離れられなくなるわけだ。
 クレー初心者の中には、トラップばかりでスキートを撃ったことがない、という人も少なくない。
 常にクレーが前方に逃げていくトラップしか撃ったことがない人にとって、スキートはクレーの飛翔方向は多彩だ。撃ってみれば、スキートの面白さに驚くかもしれない。
 そんなスキート未経験者のために、スキートのルールとマナーを解説してみよう。ルールとマナーが判っていれば、何かの機会にスキートに挑戦してみようと思うかもしれない。
 ここに語られていることを覚えておけば、初めてのスキートを撃つときに戸惑うことはない。

スキート射撃のルールとマナー
射台と射団
 スキートは、1番射台(Station 1)から8番射台(Station 8)まで、順番に回って射撃を行う。これを1ラウンドという。一人で撃つ場合を除き、射団(Squad)とよばれる1つのユニットでまとまり、射撃を行う。射団は最大6名(アメリカでは5名)までとし、原則的にこれを超えることはない。
 射団は、1つの射台で一人ずつ順番に射撃を行う。全員が予め定めておいた順番に撃ち、全員が撃ち終わった後、次の射台に全員で揃って移動する。
(日本ではStation 1とかStation 2という呼称は全く使われていない。Squadも同様だ。)

待機
 スキート射場では1名が射台に立っているとき、他のシューターが別の射台に立つことはない。1名が射撃をしているとき、その射団の残りのメンバーは, 射撃中のシューターのじゃまにならないように、じゅぶんうしろに下がっていなければならない。
 また射団の全員が、その射台で撃ち終わるまで、絶対に誰も次の射台に移動してはならない。
 射団のメンバーが、順番を待つときの待機位置は、
1番射台では放出機(ハイハウス)側面、射手の右後方。
2番射台〜4番射台は射台の後方で待機。このとき、射手より左側に行ってはならない。
5番射台〜6番射台は射台の後方で待機。このとき、射手より右側に行ってはならない。
7番射台は射手の左後方、出来るだけ後方で待機。
8番射台は4番と8番射台の中間ぐらいを先頭に撃ち順に待機する。

安全(1)
 射団のメンバーは、順番を待つ間、または撃った後、全員が撃ち終わるまで待つ間、銃を安全な状態にして持っていなければならない。
 2連銃は、装填せずに折って持っていること。セミオートマチックやポンプアクション・ショットガン、レバーアクション・ショットガン等は、装填せずに、ボルトを開放した状態にして待つ。そのとき銃口は安全な方向を向いていなければならない。
 セミオートマチックやポンプアクション・ショットガン、レバーアクション・ショットガン等は上下2連のように銃口を地面に突いたり、靴の上に銃口を下に向けて載せてはいけない。本人は楽かもしれないが、他人が見たら、かなり怖いと感じる。ボルトが開放になっているといっても、それはチャンバーがカラであることを証明しているわけではない。
 また間違っても、待っている間に挙銃練習などをしてはいけない。これは重大なるマナー違反だ。しかし、これをやっているシューターは少なくない。悪い事にベテランと呼ばれるようなシューターが堂々とやっている場合もある。
 射台に入る前に銃に装填をしてはいけない。装填しながら射台に入ることもいけない。射台にしっかり入ってから装填を行うこと。

射撃順序(ISSFルールの射順)
1番から8番までの射台での射撃順序は以下の通り。
P=プール(Pull), M=マーク(Mark) D=ダブル(Double)
1番  P, D (P,M) 1発装填してP、続いて2発装填してダブル(プール、マーク)
2番  P, D (P,M) 1発装填してP、続いて2発装填してダブル(プール、マーク)
3番  P, M, D (P,M) 2発装填してP、続いてM、2発装填してダブル(プール、マーク)
4番  P, M, D(P,M) 2発装填してP、続いてM、2発装填してダブル(プール、マーク)
5番  P, M, D (M,P)  2発装填してP、続いてM、2発装填してダブル(マーク、プール、) 
6番  M, D (M,P)  1発装填してM、続いて2発装填してダブル(マーク、プール、)
7番  D (M, P) 2発装填してダブル(マーク, プール、)
8番  P,M     1発装填してP、1発装填してM

 左側のハイハウス(又はプール・ハウス)より放出されるクレーをプールという。アメリカでは通常,Pullとは言わず、High Houseという場合が多い。日本では、プールの呼称が一般的。
 右側のローハウス(又はマーク・ハウス)より放出されるクレーをマークという。アメリカでは通常,Markとは言わず、Low Houseという。日本ではマークの呼称が一般的。
 7番射台から8番射台への移動は、7番から直接8番に移動するのではなく、いったん4番射台まで戻り、それからまっすぐ8番まで移動する。
  ダブルなしで、すべてシングルで撃つことも可能。上記ルールで2発装填となっているタイミングでは、たとえシングルであっても原則として2発装填を行うこと。これを守らないと、1ラウンドの進行に時間が掛かり、結果として他のシューターに迷惑が掛かる。
 射団を組む際、自分はシングルで撃ちたいという場合は、その旨をプーラーに告げて、通常とは別の射団としてもらう必要がある。
 ダブルが撃てないのでシングルを撃つという段階では、出来るだけ朝早く、空いている時に行って撃つように心がけるという配慮が必要かもしれない。混んでくると気兼ねしてしまう人もいるだろうし、時間も掛かって周りに迷惑をかけてしまうこともある。過度の気兼ねは不要だが、多少の遠慮という物も必要だと思う。

安全(2)
 装填時には、銃口の方向は十分注意する必要がある。特に7番射台の場合、右利きのシューターは、銃口を、順番を待つ別の射群のメンバーが待機している方向(3〜5番射台方向)に、無意識のうちに向けてしまっている可能性がある。左利きシューターの場合は、1番射台が危ない。
 銃口の向きは常に注意していて、絶対に人のいる方向に閉鎖した状態の銃を向けることがないようにしなければならない。
 装填して、銃を閉じた時、あるいはボルトを閉鎖したとき、そのショックで銃で暴発する可能性がある。むしろ暴発の何割かは、そういうときに起こる。装填して銃を閉じる時、または、ボルトを閉鎖するときは、銃が暴発しても決して事故にならない方向に銃口を向けていないといけない。
 また、暴発を誘発するので閉鎖するときは引き金に指をかけては絶対に行けない。
 難しく考える必要はない。射撃する方向に向けて閉鎖すれば、万が一暴発したとしても、撃つ方向に弾が飛んでいくだけで、人身事故にはならない。

8番射台
 8番射台に立った際、まず左側を向き、プールからのクレーを撃つ。その後、待機姿勢を変えてマークも迎撃する。このとき、身体の向きが変わるが、絶対に右回りでなければならない。左回りだと射団のメンバーや、別の射団のメンバーが待機している方向に一瞬だけでも銃口を向けてしまいかねない。だから絶対に右回りで身体の向きを変えなくてはならない。また、8番だけはシングルのみであるが、他射台と違って、装填は1発装填を厳守しなければ行けない。

待機姿勢
 射台に立って、クレーが飛び出すのを待つ際、ストックを肩から外し、ストックを腰の上あたりに下げることがISSFルールの正しい待機姿勢だ。トラップのように、ストックを肩につけて、狙いながら待機するわけではない。そしてコールし、クレーが飛び出してから、ストックを肩に付ける。
 しかし、初心者にいきなりこれを求めても難しい。その場合は、ストックを肩に付け、クレーの飛行予測方向に銃を構えてからコールしても良い。これをフリースタイルという。
  ISSFルールではコールしてから、クレーが飛び出すまで、0〜3秒までタイムラグがある(タイマー付)。これを無くし、コールしてすぐにクレーを飛ばす方法を、ノータイマーという。
 待機時に銃を構えておく、あるいはノータイマーで撃つ、またシングルで撃つ、これらは、初心者のための特別ルールだ。公式試合では出来ない事は言うまでもない。しかし個人的に撃つ場合、または草試合であるなら主催者の了解を得れば、このような形式で撃つことは問題にはならない。
 また、射場協や猟用資材工業会がジャパンルール(撃ち順もISSFと異なる)や業者の行う射撃会のローカルルールでノータイマーの場合も多々ある。
 射台に入ってから、何度も銃を構えたり素振りをするのはルール&マナー違反だ。銃を構える練習や、銃を振る『基本動作』の練習は射台ですべき事ではない。
 時間も倍以上掛かって周りに迷惑だ。これは初心者に限ったことではなく、ベテランにも言えることだ。

装弾
 使用する装弾は、射撃場のルールに従う。通常であればスキートの場合は9号装弾以下である。間違ってもトラップ用の7.5号などの装弾を使用してはいけない。
 スキートレンジの方が安全のための保安距離を少なく取っているので、スキートで7.5号装弾を使用すると射場外に飛んでいく場合もあり、非常に危険だ。事と次第によっては貴方のシューティングライフや、射場の存続に重大な影響を与えることがありえるので、厳に謹んで欲しい(7.5号でスキートを撃っても問題がなく、使用可能な射撃場もある)。

銃の選択
 トラップ射撃に使える銃は、かなり制限がある。12ゲージを使うことが原則的で、410では明らかに不利だと言える。しかしスキートの場合は、410が不利であることは確かだが、その度合いはトラップほどではない。
 散弾銃としては遠距離射撃となるトラップ射撃を、シリンダーバレルや20”程度のショートバレルで撃つことは、更に不利といえる。
 しかし、スキート射撃の場合、20”バレルでも大きく不利にはならない。また上下2連銃でなくとも、ポンプ・アクション、セミオートマチック、レバー・アクションといった銃で撃っても楽しめる。
 トラップ射撃が、上下2連銃を使うことがある意味で当然、という状態に比べると、スキート射撃は趣味的要素の強い銃でも楽しめる。

装備
 スキートはトラップと違い、1ラウンドで使用する装弾は25発だ。この25発を最初に身に付けてスタートする。トラップのように射台をぐるぐると5周するわけではないので、途中で装弾を補給することは出来ない。ポケットなり、シェルポーチなりに25発+αを入れておく。
 プラスαが必要なのは、ダブル射撃の場合、1発目で2枚とも撃ってしまう同射(3回までノーペナ撃ち直し)、後矢の出割れ(ノーペナ撃ち直し)、逆撃ち(前点無し、撃ち直し)等が起こる場合があるので、25発ピッタリではなく、3〜4発を余計に携帯した方が良いからだ。
 クレーが飛び出してから、挙銃動作に入ることが基本であるため、ストックの一部が引っかかるような服装は好ましくない。スキート用の射撃ベストを身に着けることが理想的だが、無ければ出来るだけスッキリとした服を身につける。上着を着ている場合は、前のボタンをかけて、銃が衣服に引っかかることが無いように心がける。
 射撃場によっては、射撃ベストを着用しないと、撃たせて貰えないところもあるのでその場合は指示に従うことが必要だ。
 以上が基本的なルールとマナーだ。これだけ覚えておけば、スキート射場に立って困ることは殆どないはずだ。

 
 銃の選択に関しての自由度の高さは注目すべきことだと思う。シューターはみな国際ルールの公式競技に出ることを目指しているわけではない。ゴルファーがみなトーナメントに参加しようとしているわけではない、ということと同じだ。気に入った銃で気軽(安全と防犯には最大限の注意を払うのは当然だが)に楽しむことが出来る、これは趣味として重要なことだと思う。その意味ではスキートの方がトラップより楽しめる要素が大きい。
 トラップしか撃ったことのないシューターは、ぜひスキートも試してみて欲しい。せっかく銃を持っているのだ。両方楽しんでみよう。フルチョークの銃では難しいかもしれないが、出来ないということもない。交換チョークなら、トラップ銃でもスキートは十分楽しめる。

Apr.11, 2003
by Yuji Takase

Copyright (C) 2003 by Shooting Tips

射撃のマナー 基礎中の基礎  Fundamental Manner of Shooting by M.T.
Chapter 1: トラップシューティング 射台間の移動と装填のタイミング
Chapter 2: 銃口の向き
Chapter 3: チャンバー・セフティ・フラッグ
Chapter 4: スキート未経験者の為のルールとマナー by Yuji Takase

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