射撃のマナー, 基礎中の基礎
chapter 2: 銃口の向き Direction of muzzle

 銃口を人の方に向けてはいけない
これは誰でも知っていることだ。いくら基礎中の基礎、だといっても、ここで改めて銃口は人に向けてはいけない、と書くのは、当たりまえ過ぎるかもしれない。
 銃口を人のいる方向に向けない。これは多くのシューターが理解し、実行していることだ。
 しかし…、それはその銃に装弾が装填されている状態に限っての話だと思っている人もいるかもしれない。
 装填された状態でなければ、どんなことがあっても弾丸が発射されることはあり得ない。だから銃口がどこを向こうが、まったく問題はない。
 まさか、こう考えてはいないだろうか?
 確かに装填されていなければ、危険はない。しかし、装填されていないはずが、何かの間違いで装填されていた、あるいは、装弾を抜いたと思っていたが、1発残っていた、ということは実際に存在する。いや、暴発事故の何割かは、こういう思い違いで起こっている。
 だから、装填の有無に関わらず、銃口の向きは常に意識して、絶対に人に向けないように注意するべきなのだ。

          この銃は常に装填されている。   All Firearms are loaded.

 このくらいの気持ちを持って銃は扱うべきだ。常に銃口は人のいる方向に向けない。この気持ちがあれば、万一暴発が起こっても、最悪の事態は避けることが出来る可能性がある。
 銃を手にしたら、まず行うべきことは、装填の有無を確認することだ。前にこの銃はカラだったから、今も装填されているはずはない。そんな理屈は忘れるべきだ。
 たとえ装填されていることは絶対にないはずでも、銃を手にするとき、まずは確認が必要だ。
 ボルトを開く、あるいは、銃を開放する。そして装填の有無を確認する。これは銃を手にした時にまず行うべき“お作法”だ。
 そして射撃場では、撃つ直前まで銃は常に空の状態を維持する。
 銃は空でも、決して人のいる方向に向けたりしてはいけない。

 さて、射撃する状態になった。射台に立って(あるいは伏せて、または座って)装弾を装填中、無意識に銃を人のいるほうに向けてしまう人がごく稀にいる。スキートの場合は、特に起こりやすいミスだ。
 これも絶対に行ってはいけない。
 そして、装填したなら、銃口は常に標的方向を維持する。
いかなる事態が起ころうとも、銃を人に向けてはいけない。銃にトラブルがあろうと、標的紙が風で吹っ飛ぼうと、クレーが出割れであろうと、いくらコールしてもプーラーが一向にクレーを出してくれなかろうと、銃を人に向けてはいけない。たとえ一瞬でもだ。
 銃を持ったままふり返り、その際、銃口が人のいる方向を向いてしまうという人もいる。そのとき、トリガーに指が掛かっているなんていうのは、完全にシューター失格だ。
 装填された状態の銃は危険度が大幅にアップする。

 人に銃口を向けない、という事に加えて、
     跳弾の可能性のあるもの、破壊したくないものに対しても銃口を向けてはいけない。
     Never let the muzzle of a firearm point at anything you are not willing to destroy.

 天井やコンクリートの地面もこれに含まれる。
日本の狩猟免許試験においては、銃に装弾を装填するとき、およびアクションを閉鎖する時には、銃を下向きにすることが正しい扱いとされている。
 上下ニ連銃に装填するとき、銃口を斜め下に向けて装填し、銃身をそのままにして、ストックを持ち上げるようにして、閉じることを正解としている。銃身を持ち上げるようにして閉じるのは正しくない。しかし、これは猟場での話だ。
 アクションを閉鎖した時、そのショックで暴発する可能性は、ハンマーとシアのかみ合わせが甘くなった銃(これは整備不良だ)では確かに起こりえる。あるいは、そのとき、間違ってトリガーに指が掛かっていて、何かの弾みで指が動いて暴発させてしまうかもしれない。
 暴発しても被害を少なくする意味で、狩猟の世界では銃口を下に向けたまま閉じることを奨励しているわけだ。暴発しても土の地面なら、比較的安全だ。
 しかし、射撃場でそれを行って暴発させた場合、コンクリートの地面を撃って、跳弾で誰かが怪我をする可能性がある。
 だから射撃場では猟場とは違う銃の扱いをするべきだ。銃口は正面方向を向けて閉鎖する。射撃場で万一、暴発してもその方向なら、基本的に安全だ。
 ライフル射撃競技を行うポジション・シューターの中には、銃を構える際に、銃身を高い角度(45度以上も!)に向けて、バットプレートを肩に当てて、それからおもむろに銃を標的の方向に下ろしてくる人がいる。
 まず肩付けして、それから銃を標的に向け、構えの姿勢をとるわけだ。この一連のプロセスは個人差がある。大きく銃を上に向けた状態で肩付けすることが、良い結果に結びついているシューターには申し訳ないが、この角度が極端に大き過ぎると、これもまたかなり危険な行為だ。そのときトリガーには指は掛かっていないのだろうが、なんらかの弾みで指がトリガーに触れないという保証はない。
 某射撃場では射座の天井に穴が空いているのを見ることが出来る。床のコンクリートがエグれている射撃場もある。隣の射座とのパーテーションに貫通した穴があるのも発見した。
全部、暴発の結果だ。
 とにかく、銃を手にした時は、絶対に人に銃口を向けてはいけない。装弾が装填されているか否かに関わらずだ。射座に入るとき、出るとき、射台を移動するとき、常にこれを意識する。
 装填したなら、人に向けないだけでなく、安全な方向以外に絶対に銃口を向けてはいけない。安全な方向というのは標的のある方向だけだ。地面にも天井にも標的は無い。

注: All Firearms are loaded.
   Never let the muzzle of a firearm point at anything you are not willing to destroy.
   これらはJeff Cooperの提唱したThe Four Rulesの内の2項目

Copyright (C) 2002 by Satoshi Maoka
Oct.6, 2002
Revise : Oct.10, 2002

射撃のマナー・基礎中の基礎 Fundamental manners of shooting
chapter 1: Trap, 射台間の移動と装填のタイミング by M.T.
chapetr 2: 銃口の向き
chapter 3: チャンバー・セフティ・フラッグ
chapter 4: スキート未経験者の為のルールとマナー by Yuji Takase

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